2025.12.12
副院長紹介②皮膚がん診療で学んだ姿勢
こんにちは。副院長の奥村真央です。
自分のことを語るのはとても照れくさいのですが、第2回では、これまで皮膚科医として診療に携わる中で、特に心に残っている経験について書いてみました。
◆ 国立がん研究センター中央病院で過ごした4年間
国立がん研究センター中央病院の皮膚腫瘍科で働かせていただいた4年間は、私にとって本当に学びの多い時間でした。
皮膚がんには、悪性黒色腫、基底細胞癌、有棘細胞癌、乳房外パジェット病など、さまざまな種類があります。
いずれも日本人にはまれな病気で、治療できる医療機関が限られているものも少なくありません。
そのため、がんセンターには全国の病院から患者さんが紹介されてきました。
そこで診療に関わる中で、たくさんのことを教えていただく一方、
「できることが限られている悔しさ」や「医師としての無力さ」を感じる場面も少なくありませんでした。
◆ 皮膚科医として、強く心に残ったこと
皮膚がんには確立した予防法が少なく、一般的ながん検診もほとんどありません。
そして、患者さんが最初からがんセンターを受診されることはほぼなく、多くの場合、最初に相談するのは地域のクリニックの皮膚科医です。
皮膚は目に見える臓器だからこそ、
身近な皮膚科医が「もしかしたら」と気づけるかどうか が、とても大切だと痛感しました。
◆ 経験を、今の診療につなげるために
治療の選択肢が限られる病気に対しても、少しでも根拠をもって向き合いたいと思い、
臨床研究や論文執筆にも関わらせていただきました。
ガイドライン作成に携わる機会をいただけたことも、医師として大きな励みになっています。
こうした診療に向き合う中で、2021年に皮膚科専門医を取得し、その後、名古屋大学大学院で臨床研究を行い、2024年に医学博士を取得しました。
いずれも、特別なことを目指したというより、日々の診療の中で感じた疑問が基になっており、上司や同僚、何より患者さんに多くのことを教わった結果だと感じています。
◆ 今、地域で診療するということ
がんセンターや大学病院で学ばせていただいた経験を、
もっと身近な場所で、日常の診療に生かしたい。
そう思うようになり、開業という選択に至りました。
重い病気・まれな病気を「もしかしたら、と疑うこと」と、
日常の皮膚トラブルに「丁寧に向き合うこと」。
そのどちらも大切にできる皮膚科医でありたいと思っています。
皮膚がんについては、またホームページでもご説明できたらと考えています。